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映画「人生に乾杯」
norichan (2009年12月15日 15:47)

映画という体験の続きです。ドキュメンタリー映画「精神」を観たときに、予告編でハンガリー映画の「人生に乾杯」をやりました。年金生活でやっていけない老夫婦が、ピストル片手に強盗をするという物語です。テーマとしてはありそうな話(?)で新味はないのですが、ふだんはあまり観る機会がないハンガリー映画であることと、若いころに観て共感した一連のアメリカン・ニューシネマ「俺たちに明日はない」とか「狼たちの午後」を思い出したりもして、先週土曜日の最終回を観にいきました。

監督はガーボル・ロホニという人で、長編第一作目、本国ハンガリーで大ヒットした映画です。年金生活者の困窮と、せっぱ詰まってはたらく強盗とその逃避行が、シリアスでなくむしろ軽やかなタッチで、ときにユーモアたっぷりに描かれていく、奇妙な味わいの映画です。ただ最後の最後に出てくるワンカットを見逃すと、大変なことになって、映画の主題を取り損ねることにもなりますので要注意。その前の伏線となる号泣シーンで涙でメガネが曇っていたり、うつむいてお菓子の袋を探っていたりすると、終わってから「自分は映画を観る資格がないんじゃないか」というくらい落ち込んでしまうこと請け合いです。

かくいうわたしが、そうでした。「この映画って、アメリカン・ニューシネマの世界だよね」と、エンディングは観なくもわかるみたいな思い入れから、肝心のカットを見過ごしていたのです!(涙で目がかすんでいたのも事実ですが・・・)

二人が銀行を襲うシーンでは、"俺たちに明日はない"のボニーとクライドがオーバーラップし、奥さんが「人生の心残りは一度でいいから海を見たかったこと」というセリフに、"真夜中のカウボーイ"でダスティン・ホフマン演じる"ネズミ"がマイアミ行きの長距離バスの中で死んでいくシーンを思い出したり、強盗を重ねて全国に指名手配された二人がアンチヒーローとして群衆から喝采を浴びるシーンに、"狼たちの午後"のアル・パチーノが重なったり・・・と、かっての映画の記憶が、目の前の映画のレイヤーになってわたしの目をおおっていたようです。

終わってから、一緒に観た友人から「泣いてソンしちゃったね」といわれて、ハッとわれに返った次第。「人生に乾杯」は、また一つ、映画という体験に"ほろ苦い失敗"の記憶を、こころの奥底に残してくれました。

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画像CLICK→拡大 詳細は、深谷シネマ http://fukayacinema.jp/

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