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映画「悪人」を観て思ったこと
norichan (2010年9月23日 13:18)

・あの「フラガール」の李相日(リ・サンイル)監督が、久々に撮った映画です!深津絵里がモントリオール世界映画祭で最優秀女優賞を取ろうがとるまいが、絶対に観ようと思っていました。「フラガール」ほどのインパクトはありませんでした。が、李相日らしい一秒一瞬をムダにしない緻密な演出と、主人公の内面を映し出すような暗めのカメラワーク、九州の方言まんまの台詞のリアリティ(関東生まれのボクには長崎、佐賀の正確な方言はわかりませんが・・・)が、どこにでもありそうな物語を、どこにでもいそうな人間たちを通して、リアルに語りかけてきました。若いのに、もう巨匠の風格です。「誰が本当の悪人なのか?」と映画の公式ホームページにキャッチコピーがありますが、この映画は現代における「悪」の諸相を、殺人、格差、孤独、家庭崩壊、欺瞞、詐欺、介護問題など、さまざまな面からあぶり出します。では、この時代に「善」とはいったい何なのか・・・?そもそも「善」は、可能なのか?まずは映画を観て、それぞれにお考えください。
ストーリーについては、公式ホームページをご覧ください。
http://www.akunin.jp/index.html

・ボクの場合、映画はわりと監督か俳優さんで観る方なのですが、「悪人」で期待していたのは、「ブタがいた教室」で星先生を演じた妻夫木聡が、髪を金髪に染め、どんな「悪人」を演じるのかということでした。
いい目をしていました。暗く沈んだ、焦点の定まらない、虚ろなまなざし。自分の居場所がない、心を開く相手もいない、孤独な人間の「目」を、彼はみごとに演じていました。この映画では、妻夫木に限らず、深津絵里、満島ひかり、柄本明、樹木希林の「目」が印象に残りました。哀しい目、寂しい目、切ない目、怒りの目、絶望の目、つかの間の幸せ(希望)の目・・・、役者たちの「目」によって物語が進行していくようでした。「フラガール」でも、蒼井優、松雪泰子は、いい目をしていたなぁ。

・殺される満島ひかりの演技が、光っていました。先日、深谷シネマで「川の底からこんにちは」をやっていたのですが、見損なってしまいました。満島ひかりの主人公が、落ち目の"しじみ工場"の跡目を相続して奮闘する物語です。その時は、満島ひかり Who?だったのですが、「悪人」で俄然興味がわいてきてDVDで観てみようと思っています。

・それから映画を観ていて、ふっとthe mad capsule marketsの「公園へあと少し」を思い出しました。祐一(妻夫木)の心情が、madの世界に近いと感じたためでしょう。ちなみに「悪人」の音楽は、久石譲です。

「公園へあと少し」の歌詞の一部を引用します。

♪冬の朝 1人で歩いた 曇り空と霧の中
吐く息がとても白いと 公園へあと少し
緑色に濡れた道を歩いてそこまで
それほどの道じゃないのに長く歩いている

あの娘がくれた夢と そしてその奥まで
友達もここを歩いた こんな冬の朝に

そのままでいいのさ 歩き続けるだけでいい
飛び出そうなんて思うな その先には何も無い
公園へあと少し 公園へあと少し♪

公園に行き着いても、そこにも、その先にも何もないんだけどね。tumibatu.jpg吉田修一の原作(ベストセラー)は読んでいないのですが、映画を観てからドストエフスキーの「罪と罰」をもう一度読んでみようと思いました。深津絵里がソーニャのイメージなんですよね(笑)。ラスコーリニコフは妻夫木というより、松山ケンイチなんですが。

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